三菱電機の「マインドセット改革」について
巨大企業が挑むマインドセット改革の重要性
三菱電機といえば、100年以上もの歴史を有し、約15万人の従業員を抱える巨大企業です。
そのような企業が、今、デジタルトランスフォーメーション(DX)に注力し、マインドセット改革に取り組む姿勢には大きな意味があります。
古くからのモノづくり文化を持ちながら、デジタル時代に適応するためには、経営陣の強い意志と従業員の意識変革が欠かせません。
この改革の裏には「危機感」があり、それを鋭く語るのが、三菱電機の武田聡氏です。
彼の言葉に耳を傾けると、組織の変革に向けた強い決意が伝わってきます。
新しい時代に必要な組織の変革
自動車や電子機器など、変化の激しい業界において、従来の手法が通用しなくなることは珍しくありません。
武田氏は、従来の効率的な指示系統がデジタルプロジェクトには必ずしも対応できないと訴えています。
プロジェクトの立ち上げと解散を繰り返すデジタルの世界では、柔軟なマインドセットが求められるのです。
それを実現するため、三菱電機は2023年4月、横浜に「DXイノベーションセンター」を設立しました。
このセンターは、社内のデジタル改革を推進するための重要な拠点として機能しています。
横断的なデジタル基盤「Serendie」の誕生
新しく立ち上げられた「Serendie(セレンディ)」は、三菱電機の異なるビジネスユニット同士をデータという観点からつなぐためのデジタル基盤です。
これにより、これまでバラバラだった各事業が、データを共有し分析することで新たな価値を生み出せるようになります。
たとえば、電力管理、空調、エレベーターのデータを総合的に運用することによって、より効率的で環境にも配慮したビル経営が可能になるのです。
このように、デジタル技術を駆使して新しい提案を生み出す姿勢は、現代の顧客ニーズに実にマッチしています。
顧客ニーズの変化と新たな価値の提供
顧客の期待は、単なる商品の取引から、複合的なソリューションの提案へとシフトしています。
特に、カーボンニュートラルが重要視される現在、効率的なエネルギー管理には新たな視点が求められます。
武田氏は、機器の納入のみならず、その後のデータ活用を通じた価値の提供が強く意識されていると述べています。
このようなフレキシブルな考え方が、顧客との信頼関係を深め、持続可能な社会の実現にも寄与することが期待されます。
共創の場「Serendie Street YIMP」への期待
2025年には、横浜・みなとみらいに新たに「Serendie Street YIMP」という共創スペースが開設される予定です。
この場では、三菱電機関連の事業だけでなく、外部パートナーとの自由な交流が実現します。
機密性が求められるビジネス環境の中で、オープンな共創の場を設けることがどれほどの価値を生むか、非常に楽しみです。
新しいアイデアの種があちらこちらで生まれ、多様な視点が交わることで、あたらしい価値を創造する場となることでしょう。